雪庇ができるのは戸建て住宅だけではありません。マンションやビルのような高く建物でも雪庇はできてしまいます。
また、雪庇というのは高さは関係なく、マンションの4階建てだろうが10階建てだろうが関係なくできてしまいます。
一部の建物は雪庇ができないように雪庇ガードを後付けで施工していたりしますが、ほとんどの建物が施工はされていません。
高い建物にできた雪庇は落下時の衝撃は凄まじく、万が一落雪にあたれば命の保証はありません。
人でなくとも「物置」や「自動車」「自転車」「室外機」など、マンション周りにはたくさんの設備や人の通りがあります。
もしマンションで雪庇ができてしまったら大変危険です。
たまに落雪が予想される場所にパイロンと注意喚起を促していますが、常にガードマンが立っているわけでもなく誰でも侵入可能な状態です。
マンションが高いと風の影響を受けて落下予想点は何メートルも離れることも予想されます。
たくさんの危険が付き物のマンションにできた雪庇を除去作業をご紹介します。
5階建て!高いマンションにできた恐怖の雪庇
今回は札幌市にて【マンションの雪庇落とし】の作業を行ないました。
雪庇ができたのはベランダの上で、住民の方から連絡を受けて管理会社様からのご相談でした。
「マンションの雪庇も除去できるのでしょうか?」とご相談を受け「屋根に登れるのならば大体できます」とその日のうちにマンションを訪問。
目測で高さ約15メートル。雪庇を見上げて「おぉー高い・・・うーん」と正直悩みました。雪庇の下にはエアコンの室外機とマンションの駐車場があるからです。
そして雪庇がかなり大きいこと。これは少し触っただけで一気に全て落雪する危険があるからです。雪庇に触るどころか近づいただけで落雪することもあるのです。
これを無事に(被害を出さずに)落とすのはとても難しいなぁと思いました。
放置することのできない雪庇
管理会社様に「ここまで大きくなると作業中に一気に落雪する可能性が高いので無事完了する保証ができません」とはお伝えしましたが、「そうですよね。でもお願いします!」と了承を得たので最大限の力を出し切ってやるだけやってみることに。
仮に作業をせずにこのままほっておいても雪は大きくなる一方です。
そのうち荷重がかかり落雪するのは時間の問題です。
管理する側からしたら早く解決したいところですよね。
雪の落下予想地点はまっすぐ落ちればエアコンの室外機でした。もし風で煽られれば駐車場にいく可能性もありました。駐車場には最初、契約者の車がありましたが、わけを話して一時的に車を移動させてくれるよう協力していただきました。
次の問題のエアコンです。真上に一気に雪が落ちてくれば破損する可能性がありましたので、布団やハシゴ、コンパネなど色んな物を使って養生しました。
因みに今回のマンションの屋上に上がるのはなんと外ハシゴでした。5階のマンションの屋上まで階段ではなくハシゴで登るのは高所に慣れているとはいえ正直恐かったです。
技あり!雪を落とさずに雪庇を除去する
この日は風が全く無かったので、まっすぐ落とした雪は室外機に直撃する形となります。養生しているとはいえ、5階からの雪の衝撃にどこまで耐えられるかわかりません。
いつもどおり細かく細断して除去するのはもちろんですが、無用なリスクを避けるために「雪を落とさずに雪庇を崩していく」ことにしました。
端から順番に進めて雪の突起部分から“すくい上げて”いくことで雪の大半を下に落とさずに除去することができます。
この方法だと下にどんな障害物があろうと無傷で除去することが可能です。
この方法は体を外側に預けて、かなり手とスコップを伸ばして作業にあたるためとても握力と集中力とスコップコントロールが必要になります。
時には寝そべったり、体の3分の2が外にはみ出たりとかなり危険な作業となりますが、命綱を使用したりすることで可能となります。
※雪庇が大きすぎると届かなくてうまくできない場合もあります
空中でキャッチするようにすくい上げた雪は下に落とさずにマンションの内側へ一度溜めます。除去作業が全て終わった後にマンションの真ん中付近へ除雪し、雪庇ができづらいようにしておきます。
※この方法は管理会社様と相談の上作業にあたっています
塵みたいな雪はともかく、大きな雪を一切落雪させること無く雪庇を除去することに成功しました。
※準備に時間がかかったため作業は2時間ほどかかりました
たまたま向かいにいたマンションの屋上にいた管理人さんに作業中に声をかけられ「凄いね!気をつけてね!」と声をかけられました。管理人さんもなかなか危ないところを雪下ろししていたので親近感が湧きましたね
まとめ~難関雪庇落としの難しい判断
今回はうまく作業ができましたが、毎回うまくいくとは限りません。技術も大事ですが、雪庇はコントロールするのが難しく予想に反して落雪することもあります。
こういったシチュエーションの場合は多くの企業が「うちでは作業できません」または「高所作業車とオペレーターとガードマンが必要だから○○十万円かかります。道路の封鎖の許可に○○日かかります。」だとか言われるケースばかりだと思います。
便利屋七道でも今までお断りしたケースも少なからずあります。
まれに「絶対に被害を出さないでほしい」「なにか被害があったら責任を持ってほしい」という人もいますが、その場合はお断りしております。最大限努力はしますが、絶対の保証なんてありません。
作業前に状況をみてからお客様と念入りに打ち合わせいたしますので、それでOKかどうかはお客様のほうで判断していただければと思います。
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