雪庇のできてしまった屋根の形状というのは大きく分けて2種類あります。
それは“無落雪屋根”と“傾斜屋根”の2つです
同じ雪庇という名前でも屋根の形状によってその性質は全く違うものであり、作業時間や作業工程、負担費用が全く違うものになります
ご自宅の雪庇がどんなタイプか確認しましょう!
上の画像が無落雪屋根に作られた雪庇です。
無落雪屋根のような平たい屋根にできた雪庇というのは降雪と風によって形成されており、その大きさに限らず雪質はフワフワの柔らかい雪で、短期間で大きく成長するのが特徴です。大きくなったことでその重量に耐えられなくなり、ある日突然一気に落雪し、時に衝撃で何かを破損してしまうことがあります。
1か所あたりの作業時間は30分~1時間ほどの時間がかかり、費用は8,000~12,000円になることが多く、最近作られた住宅はこちらのケースが多くみられます
それに対して傾斜屋根にできた雪庇は上の画像のような氷の雪庇です
屋根部分からの雪解けにより徐々に傾斜に沿って滑り落ちたことによって形成されており、雪ではなく分厚い氷の板状になっています。氷自体が土台となっているためまっすぐにせり立ったままで、その上にさらに雪が積もり大きな雪庇となります。傾斜が高いと勢いついて滑り落ち、時に隣の外壁や窓ガラス、塀を破損させてしまうトラブルをもたらします
危険度(リスク)が高いため1か所あたり1時間~1時間半ほどの時間がかかり、費用は10,000~15,000円になることが多く、氷の厚みや危険度によってはそれ以上の費用になることも稀にあります
ご自宅にできた雪庇をよくみてみてどのくらいの負担費用なのかを予測しましょう
氷の雪庇落とし!難しい作業に挑戦する
本日は札幌市厚別区にて【雪庇落とし】のご依頼を承りました。
2階建ての2階傾斜屋根には大きな雪庇がせり立ち、隣の敷地に迫る勢いです
遠目で見てみると巨大な雪の塊に見えますが、近くでよく見てみるとこれは下半分が氷の塊で形成されています。これは傾斜屋根にできた雪庇の特徴で、氷で補強された分まだしばらく落ちずに大きくなり続けます。そして暖かい日に屋根から勢いついて滑り落ち、隣の敷地へ落雪します。勢いついた分飛距離があるため、このままではお隣の家の塀を破壊してしまう状況でした
安全のために2段階に分けて除去する
いつものように2階の屋根に上がりスコップで突く方法はこの場合は通用しません。金属のスコップでは氷には歯が立ちませんし、細かく落とすためには上からの方法は適しません。
上から落とせば大きく一気に落としてしまう危険が高く、それでは塀や外壁を破壊してしまう危険がありました
今回はハシゴを雪庇の下に立てかけ、屋根の軒をガードとして利用しながら内側から突いて少しずつ除去していきます。一見危険に見えますが安全性を考えるとこの方法が適しています
下から氷を壊せるだけ壊して落とし、その後屋根の上から残りの屋根の上の氷も除去します。
剣先スコップでは歯が立たないこの状況に非常に役に立つのがこの“大型ハンマー”です。頭が8ポンドあり、かなり重量があるため足元の不安定なハシゴの上でこのハンマーを操るにはかなりの腕力が必要です。この大きなハンマーを“小さく”振り、少しずつ細かく叩き壊してく気の長い作業となります。
養生には細心の注意を!氷の塊対策
分厚い氷を細かく落とすようにするとはいえ、一つ一つの重さは2~3キロ以上になります。雪庇の下には細い植木が生えており、直撃してしまえば幹が折れてしまいます。依頼主様は「折れても構わない」と言ってくれましたが、なるべくは壊さずに残したいものです
いつものように隣家へのコンパネを立て破損や侵入を防止するのはもちろんのこと、植木にも養生します。
今回は長い脚立を植木にかぶせ、大きな氷の直撃を防御しています。植物は複数あるので、雪庇の除去する箇所にしたがって脚立をずらしで全て無傷を目指します
一瞬も気が抜けない 氷と格闘
上半分は雪、下半分は氷なのでまずはスコップで上側の雪をスコップで除去し、重量を減らします。少しでも重さを減らすことで急な落雪の可能性を少しでも低くします
残された分厚い氷はハンマーで叩いて細かく砕いていきます。“当てる角度”・“狙う場所”・“力加減”を巧く調整することで氷の割れる箇所や大きさ、落ちるタイミングをコントロールできます。ヒビをよくみて慣れてくれば落とす場所もある程度調整できます。そうすることで下の植木への直撃も防ぐことができます
氷を端から順に壊していくたびに脚立やハシゴの位置を調整しなければならないため作業はとても時間がかかります。この1辺の下からの氷除去の工程で1時間強の時間がかかっています。
ハシゴの上でハンマーとスコップを何度も持ち替えて振り回すのはかなりの重労働でしたが、無事全てを除去し終えました。
しかし、これは今回の作業工程の半分に過ぎません。今度は屋根の上に登って残りの屋根に張り付いた氷の板を除去します
寄棟屋根の難しさ 屋根の種類が重要
今回は1階の屋根部分から脚立を立てて2階へ上がることができました。屋根の種類は“寄棟屋根”と呼ばれる形で、四方に雪が流れるようになっています。実はこのタイプの屋根は上るのが非常に困難で、今回上に上がれるかどうかは判断がとても難しかったです。
片側傾斜屋根やよくある三角屋根とは違い滑りやすく屋根に上がれないことも度々あり、「落下の危険が高いため屋根の上の氷は除去できません」と依頼者へ報告することもありますのでご了承ください
今回は傾斜が浅く、屋根に雪がくっ付いていたため滑りづらく、雪庇の反対側に煙突があったため命綱をかけることが容易だったため作業することができました
屋根の上に上がって届かなかった氷の板を全て細かくして除去し、残った雪も少し厚みを残して雪下ろししました
全ての作業を終えるのにかかった時間は約2時間半。雪庇落とし作業としては今季最長時間かかりました。難しい作業でしたが、その分依頼主様と隣人からは「流石だね!やっぱ職人だね!」とお褒めの言葉をいただきました。苦労した買いがありました。便利屋冥利に尽きる思いです
※除雪関連のブログはこちら
※除雪の費用はこちら
より良いサービスをするために
便利屋七道ではお電話・メールにてお問合せいただき、作業の打ち合わせをいたします
隣家へご迷惑になる可能性がある場合は隣人のお宅に作業をする旨ご挨拶をいたします
屋根の上はお客様は上がることができないため、本当に作業が行われたかはわかりません。お客様の不安にならないように作業前と作業後のお写真をお見せいたします
もし当日キャンセルの場合でもキャンセル料をとるようなことは致しませんので、もしご都合がつかなかった場合や別の人に作業してもらった場合などはご相談ください
作業は夜間や早朝にも承っておりますので、お気軽にお問い合わせください
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