薪ストーブを使用している場合は煙突掃除は必須であり、掃除しなければ煤が煙突内部を詰まらせ大トラブルになります。
薪ストーブは「通常の薪」を「正しい使い方」をしていれば煤の量は比較的少なくすみ、定期的な煤掃除をしていれば何ら問題はありません。
しかし、その「通常の薪」と「正しい使い方」をできている人は多くありません。
特によくあるのが「通常の薪」を使用しているのではなく、「廃材を利用」しているユーザーです。
薪代わりに使用される廃材というのは解体現場から出てきた木材、または大工さんが建築時に使った余った木材が主であり、一見見た目は綺麗ですが決してお勧めできるものではありません。
焚き付け時の最初のみに使用するならばともかく、それらを慢性的に使用しては煙突に付着する煤の量は通常の薪に比べて数倍にもなり、あっという間に煤だらけになります。
煤だらけになっている煙突に気が付かず使い続ければ、煙突が煤で詰まり最悪の場合は『煙道火災』になることがってあります。
廃材を薪ストーブの燃料として利用しているユーザーの皆様は是非注意していただきたいと思います。
何があった?ボロボロになった集合煙突
本日は千歳市まで【集合煙突の詰まり直し】にお伺いしました。
煙突詰まりということでまもなく来る冬シーズンに向けて、忙しいスケジュールの中で早めに出張いたしました。
家主様の方でいつも煙突掃除を実施しているようなのですが、煙突が詰まっているようで一度プロの方にお願いしたい。とのことでした。
現場に到着して早速調査。まず目につくのが集合煙突の酷い劣化具合です。
風雨にさらされて腐食した・・・というよりは煙突から火災が発生して焼け焦げだ。という感じです。
煙突とは多量のサビや劣化はあれど、ここまで酷い状態になることは見たことがありません。ただならぬ雰囲気を感じます。
煙突内部は酷いタールだらけ
煙突の先は粉状の煤ではなくタール状態となった固形物となっています。触ると固く、力を入れるとやっとペリッとはがせるような状態です。
火災現場後の住宅はこのような炭みたいな状態になっていますが、これはまさにそんな状態です
煙突内部の画像です。通常の煙突内とは明らかに雰囲気が違います。
出口部分同様、内部もタール状の固形物が突内部の画像です。通常の煙突内とは明らかに雰囲気が違います。
出口部分同様、内部もタール状の固形物がビッシリと付着しています。
パッと見える範囲では詰まり箇所は見えませんでしたが、奥の方は暗くてライトを照らしてもよく見えませんでした。
かなり奥の方で詰まっていることが予想できます。
こちらが集合煙突の手作り掃除口となります。本来はもっと下にある掃除口は煤で詰まっており使用できない状態になっていました。
この穴は家主様が自分で電動工具を使い新規で開口した別穴です。こちらのほうがかなり大きく開口しているため、今回はこちらから掃除したいと思います。
この穴から家主様自身で掃除をしたそうなのですが、うまくいかず断念したとのこと。
それにしても真っ黒の煤の痕が炎のようにそりたち、普通ではない煙が立ち上がった事がわかります。普段使用しているときはどのような状態であるのか想像がつきません。
硬すぎる異物にてこずる
薪ストーブの煙突等であれば先端のトップ部分を外すことができるので詰まり除去専用の長い工具を用いて突いてやれば詰まりを除去できるのですが、ここは集合煙突なので先端部分を外すことは叶わず、そういった長尺の専用工具を使用することができません。
通常の重し付きブラシで上からドシンドシン叩きつけましたが、全くといっていいほどビクともしません。
下から突いても硬い何かにゴツゴツ当たり、多少のタールの塊こそ落ちてきますがイマイチ異物本体を崩せずにいました
下から突いていると時折5~10センチ程度の小ぶりなサイズのタールの塊が落ちてきました。
こういったものが詰まっている時点でやはり良くない燃え方をしていることがよくわかります。
作業を開始して2時間近く経ちましたが、また開通することができませんでした。
いろいろなやり方をしましたが、1階と2階のちょうど間にある異物がとうしても除去できません。
しかし、他に方法が無いため、ただただひたすら地道に突いて少しずつ壊してくことにしましたが、正直作業中は「あれ、これは無理なのか?」と少し諦めムードも出てきました。
ドシン!突然巨大なタールの塊が・・・
下から突いて少しずつ壊してくと、拳サイズの大きな塊が降ってきました。
「お?やっと少しは壊れたかな?」と思って突き続けたら急にドシン!と大きな音とともに黒煙で目の前が見えなくなりました。
マスクはしていましたが、一時離れて落ち着いてから掃除口を覗くと巨大タールがそこに。
煙突と同じサイズの巨大なタールが落ちてきました。こんなものが煙突の中に詰まっていたのですね。
円柱状の形をしているので煙突にすっぽりハマる形で詰まっていたということになります
縦25センチ、胴回り50センチ、重さは2キロ以上。こんな大きな塊は見たことがありません。
これが円筒内にこべりつくように詰まっていたのでいくら上や下から突いてもびくともしなかった訳です。
あまりの大きさにお客様もビックリしていました。
ゆっくり時間をかけて出来上がったタールは溶岩石のような見た目をしています。まるで隕石ですね。燻製のような匂いがします。
タールや煤は人体には有害のためあまり弄らないでおきました。
除去後は煙突にしっかりと空気の流れができ始め、詰まりが解決されたことがすぐにわかりました。
作業を始めてから3時間近くかかりましたが、無事に詰まり除去作業が完了できて僕自身も安堵しました。
「正しい薪」と「正しい使い方」を!
今回このようなでかいタールができてしまった1番の原因は薪にあります。
よく乾燥された市販の薪ではなく、廃材を利用してる場合は煤が出やすいのは当たり前であり、基本は使わないほうが良いのです。
どうしても使うのならばかなりマメに(週に1回程度)煙突掃除をする必要がありますが、毎週煙突掃除というのはかなりハードだと思います。
しかし、掃除をおろそかにしてしまえば結局はプロに煙突掃除の依頼をしなければならなくなり、節約のための廃材利用なのに無駄な出費になってしまい本末転倒です。
(むしろ煙突詰まりは命の危険さえあり得るので、甘く考えてはいけません)
今はまだ9月中だからよかったですが、これが冬シーズン中のトラブルだった場合は清掃作業するまで暖房機が使えない状態になり、寒くて凍える思いをしてしまいます。
不安な使い方をし続けるのではなく、正しい使い方をして安心な薪ストーブライフを送りましょう